多くのスポーツには、ユニフォームに番号があります。
特に団体競技になると、ひとりひとりに番号が与えられます。その中にはサッカーや野球、バスケットボールのように、キャプテン番号やエース番号などが決められている競技がほとんどです。
しかしバレーボールでは、ユニフォームの番号が各チームでバラバラになっているのをご存知でしたか?
実は、見ている人をも混乱するほど統一性がないのです。それは一体なぜなのか、意味があるのか、バレーボールの番号について詳しく見ていきましょう。
バレーボールにおける番号とは
何番までつけられるのか
野球では、100番など3桁の番号も使うことができますね。まず、バレーボールの番号は何番までつけられるのかを見ていきましょう。
ルールブックでは、6人制では1番~20番、9人制では1番~18番となっていますが、どちらもやむを得ない場合は99番までの使用を許可しています。
基本的には登録できる12人のうち、規定に定められた番号をつけるのですが、チーム内ひとりひとりに番号を与えているチームでは21番や34番など、99番までの数字を使用していることもあります。
ルールを守るため
バレーボールは、選手の交代やリベロチェンジ、サーブ順やローテーションの順番など、番号のやり取りがたくさん行われるスポーツです。記録用紙にも、番号で記載される部分がほとんどです。
特にローテーションの管理は記録と副審の2人で行うほど大変で、ルール違反があれば混乱し、適切な処置をとるのにかなり時間帯がかかります。
番号とは、様々なルールの中でそれを守り、競技を進めていくためのものです。
固定番号とは
バレーボールの試合を見ていると、どのチームを比べても番号に統一性はなく、チームによって様々な番号を使用しています。
しかし、その中でも固定番号という番号があります。キャプテン番号とエース番号です。
なぜこの2つがそのように言われているのか見ていきましょう。
キャプテン番号は1番
自由に番号が決められる中でも、やはりチームにとってキャプテンは1番を付けるという考えが多いようです。
特に小学生から高校生のバレーボールチームでは、キャプテンの選手が1番を付けていることがほとんどです。
ですがどこも共通しているわけではなく、2番や3番など色々な番号を付けているチームもたくさんいます。
また、キャプテンにはキャプテンマークという、番号の下に横向きの一本線を入れることがルールで決められています。
キャプテンマークのないチームはルール違反で失格となり、大会に出られないこともあります。
余談ですが、リベロがキャプテンになることはできません。ローテーションが進むにつれ、たびたびキャプテンが変われば試合を何度も中断することになるからです。
エース番号は4番
エースが4番を付けるということはよく言われていることで、これもまた小学生から高校生のバレーボールチームに多い例です。
なぜエース番号だけが4番だと言われているのかは、ローテーションにあります。
ローテーションを行うとサーブを打つ順番が決まりますが、その順番を数字で表したとき、エースのポジションである前衛レフトが4番目に来るのです。
※エースのポジションは様々ですが、大半は前衛レフトに攻撃の強い選手を持っていくのが主流です。最も前衛(つまり攻撃)に回るローテーションが多いポジションだからです。
最初のローテーションのポジションによって番号が決められているのなら、下記のようになります。
1番=裏レフト、つまり裏エース(エース対角にいる選手をいう)
2番=セッター
3番=表センター
4番=表レフト、つまり表エース
5番=ライト
6番=裏センター
エースほど共通ではありませんが、セッターの選手が2番をつけているチームもたくさんいます。
このローテーションのポジションを基準に、エース番号が4番だという共通が生まれました。ですがこれもまた決まりではないので、エースが2番や1番などを付けるチームもたくさんあります。
※エースポジションは必ずしも表レフトではありません。
バレーボールの番号を使う戦略
野球でのエースは1番、サッカーのエースは10番。バスケットボールでは4番キャプテンの5・6番副キャプテン、7番がエースというように、あらかじめ決められているぶん、相手の番号を意識して戦略を立てることが安易にできます。
しかし、バレーボールではどうでしょう。各チーム自由に番号を決めることができるので、必ずこの番号を意識するという戦略は立てられません。
コートにいる6人の特徴やパターンから、エースを割り出したりするところから始まるのです。
バレーボールは、相手チームの情報を集めるのに非常に時間がかかります。そこで、こういった番号を使って相手に情報を取らせないチームも増えています。
試合ごとに番号を変える
試合が終わるごとに、全ての選手の番号を変えるチームがあります。前回の試合でマークしていた4番のエースが、次の試合で10番に、また次の試合では7番になっているということです。
情報を取りに行っても、実際に試合を行ったチームからも「何番」とはっきり言えず、顔を覚えていないと戦略が立てられないことになります。また、全ての選手の番号を変えていると、エースに限らず誰が誰なのかわからないことがあるので、非常に有効な手段になります。
番号だけでなく、キャプテンマークすら変えてしまうチームもあります。キャプテン番号の下にはキャプテンマークが必要で、ユニフォームを作る際に番号と一緒にプリントをするのですが、そういったチームではキャプテンマークをテープで貼っているところもあります。
全日本バレーボールチームでは
ここでは、全日本女子バレーボールチームの背番号を見ていきます。
全日本でも、昔は年齢の順に番号をあてていましたが、全日本女子バレーボールチームは竹下佳江さんがキャプテンとして3番をつけ、その後は木村沙織さんが同じくキャプテンとして3番をつけました。
また、以前から全日本メンバーとして定着している選手はすでに「自分の番号」を持っていますので、その番号をつけます。(例:1番=長岡望悠選手、11番=荒木絵里香選手など)
さらに、背番号1は栗原恵さんといったエースと呼ばれる存在が代々付けてきた番号です。
これらのことから、自分から付けたいと言っても簡単に希望の番号は付けられないことがわかります。
現在背番号1を付けている長岡望悠選手は、チームに勢いをもたらし、ここぞと言う時に頼りになる、決定率が非常に高い選手です。
監督やチームが長岡選手に期待しているとともに、将来性を認めたものだということが言えると思います。
まとめ
バレーボールの番号について見てきました。番号というのはルールを守るために必要なものでありますが、他のスポーツと違って、これといって意味や決まりはありません。
また「若い番号をつけている人が上手い」ということも一切ありません。監督やチーム、個人が自由に決めることができ、自由に変更することも可能です。
次々に変更するチームもあれば、番号を固定して世代を引き継ぐチームもあります。
番号自体に意味はありませんが、伝統を重ねればチームにとって大切な意味を持ち、それを付けた選手は誇りに思うものなのです。
全日本バレーボールチームでは、番号が変わらない選手や、大会ごとに番号が変わる選手がいるので、知っているとさらに試合を楽しく見られますよ。