バレーボールには数多くのルールが存在します。
目に見える反則からスロー映像にしないとわからないものまで、見ている側にはもちろん、選手や審判にも判断がつかない場合があるほどわかりにくいです。
ここではバレーボールの反則行為と、審判のハンドシグナルをご紹介します。
バレーボールではどんなルール違反をしても、相手チームに1点が加算され、サービス権が相手に移ります。
これを読んでしっかりと反則を把握し、相手に余分な得点を与えないようにしましょう。
プレーヤーに関する反則について
サーブ
サーブを打つ選手(サーバー)は、審判が笛を鳴らしてから8秒以内にサーブを打たなければいけません。
8秒をオーバーすると相手チームに1点が加算され、サーブ権も相手に移動します。
サーバーは、サービスヒットの瞬間にエンドラインを踏んだり超えたりしてはいけません。また、サイドラインより外のフリーゾーンでサービスヒットをしても反則になります。
審判のハンドシグナルはエンドラインを指して表現します。
サービス権があるチームは、相手側からサーバーが見えないようにすると妨害行為になり、イエローカードで反則になります。
警告後も妨害を続けた場合、レッドカードで退場になります。
バックプレーヤーの反則
スパイカー
バックアタックの際、アタックラインを踏んだり越えたりしてはいけません。フロントゾーンでジャンプをして攻撃をすることは反則になります。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームのほうの手を挙げて、反対側に90度肘を曲げて超えていますと表現します。
セッター
セッターがバックプレーヤーに回った際、フロントゾーンでジャンプし、触れたボールが相手コートに入ると反則になります。
しかし、フロントゾーンでジャンプをしても、触れたボールが自分のコートに入っていればセーフとなります。
審判のハンドシグナルはスパイカー同様、反則を侵したチームのほうの手を挙げて、反対側に90度肘を曲げて超えていますと表現します。
公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)が定めるルールブックでは、バックプレーヤーでもボールに触れる瞬間、ボールが一部でもネット上より低い位置にあるときは、フロントゾーンからでもアタックヒットを完了しても良いとされています。
ボールの高さが完全にネット上にある場合は反則になります。
しかし、一般的にはバックプレーヤーがフロントゾーンでジャンプをしてボールに触れ、それが相手コートに返った場合は反則とみなすのが暗黙のルールになっています。
ルールを優先するのか暗黙のルールを重視するのか、ここでの価値観の違いで、選手が審判に主張する意見も違ってきます。
実際に、ボールがネットより下にあるボールを、バックプレーヤーがジャンプをした状態で相手コートに返した場合、「バック!」と主張するチームと「超えてない!」と主張するチームをよく見かけます。
リベロ
サーブや攻撃に参加することは、原則禁止されています。
リベロは、フロントゾーンでオーバーハンドパスをすること事態が反則になります。アタックラインより後ろでオーバーハンドパスをすることはセーフです。
フロントゾーンでオーバーハンドパスをする場合、アタックラインより後ろで踏み切る必要があります。
審判のハンドシグナルはスパイカー・セッター同様、反則を侵したチームのほうの手を挙げ、反対側に90度肘を曲げて超えていますと表現します。
プレー中の反則について
ダブルコンタクト
一般的にドリブルと呼ばれる、1人の選手が連続して2回ボールに触れる反則のことです。
身体に2回触れることだけでなく、瞬間的に指先で2回触れることもあるのでよく見ないとわからない反則プレーでもあります。
審判のハンドシグナルは、反則を侵したチームのほうの手を挙げ、2本の指を立てて「2回触れています」と表現します。
フォアヒット
バレーボールは3回以内で相手コートにボールを返さなくてはいけません。フォアヒットとは、4回以上触れてボールを相手コートに返した時の反則を意味します。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームの手を挙げ4本の指を立てて「4回触れています」と表現します。
ホールディング
一般的にはキャッチボールと呼ばれ、ボールを持って運んでいることを指します。
バレーボールはボールを持てない競技なので、持ってしまうとそれは反則になります。特にオーバーハンドパスの際に注意が必要です。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームのほうの手のひらを上に向け、そのまま腕を上に挙げて表現します。
パッシングセンターライン
真ん中のセンターラインを超えて、相手コートに入った際の反則を意味します。
何度もルール改正がなされているのですが、2018年(平成30年)のルール改正では、片足、または両足がセンターラインに触れている場合、身体のどの部分が相手コートに入っていてもセーフになります。
ただし、相手チームの妨害になると、それは反則と見なされます。また両足がセンターラインを超えてしまうと、その時点で反則になります。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームのほうの手でセンターラインを指し、前後させて表現します。
タッチネット
プレーヤーがネットに触れる反則を意味します。こちらも何度もルール改正が行われているものです。
昔はネットのどの部分にも触れることも反則でしたが、途中からネット上部の白帯に触れる事のみが反則というルールに変わりました。
しかし、ネットに触れること自体が危険であったり、相手に妨害をしているという判断がくだされ、もう一度改正されました。
現在のルールでは、コート内のネット全てに触れることが反則とされています。
コート外、つまりマーカー外にあるネットや紐に触れることはセーフとなります。引っ張る行為や妨害にあたる触れ方は、マーカー外であっても反則となります。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したほうのチームの手で、ネットに触れて表現します。
マーカー外通過
ネットの両サイドにあるマーカー(アンテナ)の外側をボールが通過し、相手コートに入った場合は反則となります。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームのほうの手でマークを指さして表現します。
マーカー外通過の返球
1打目のレシーブがマーカー外を通過して、相手コートの外にボールが飛んだ場合、追いかけた味方のプレーヤーは同じくマーカーの外を通してボールを返球しなければいけません。
マーカーの外を通ったボールが、マーカーの内側を通って返ってきた場合は反則になります。逆も同じです。
1打目のレシーブがマーカー外を通過してネットを超えた場合、追いかけた選手は相手チームの選手の妨害にならなければ、相手コートに入っても反則にはなりません。
オーバーネット
相手コートにあるボールに触れる反則を指します。ネット上にあるボールがネットを超えておらず、相手コートにある状態でボールを押し込んだりすることです。
ブロックの場合、腕や手を相手コートに出すことは反則ではありません。しかし、アタックヒットが完了する前に腕や手を相手コートに出してブロックをすることは、妨害と見なされ反則となります。
アタックヒットが完了している場合は、腕や手を相手コートに出してブロックをしてもオーバーネットにはなりません。
審判のハンドシグナルは、反則を犯したチームのほうの手を挙げて、反対側に90度肘を曲げて超えていますと表現します。
ローテーションに関する反則
ここでは、ローテーションによる様々なルール違反を紹介します。
審判のハンドシグナルは、反則を侵したチームの手で指を1本立て、下に向けて反時計回りに手を回して表現します。
立ち位置の違い
ローテーションは、6人の選手が時計回りに1つずつ移動していくことですが、最初に決められた立ち位置自体は、サーブが打たれるまで変更できません。
ローテーションでは、サーブヒットが完了した瞬間から選手の立ち位置が変わります。
審判のホイッスルが鳴りサーブヒットが完了するまでの間に、選手の立ち位置が違っていればローテーションによる反則を取られます。
逆に、最初の立ち位置が合っていても、サーブヒットが完了する前に選手が場所を入れ替わった場合も反則となります。
セッターのスタートミス
高校生以下に、まれに見られる反則です。相手チームがサーブヒットを完了する前に、セッターが定位置に戻ってしまうローテーションミスを指します。
ローテーションは前衛後衛、左右と定位置があり、フリーポジション制のように、セッターがレセプション時に必ずセッターポジションにいることはできません。
相手サーバーのサーブヒットが完了してから、味方のレセプションが返球するまでの間に、後衛や前衛レフトから瞬時にポジションに戻らなくてはいけません。
セッターの選手は、焦りから反則を取られることがまれにあります。
レセプション時の立ち位置
レセプションの立ち位置は、ローテーションで決められた通りになるので両隣が変わることなく回っていきます。
レセプション時の反則とはどういったものなのか、例を挙げて紹介していきます。
例えば図1の場合、元のローテーションの形はBR・FL・FCが前衛、BC・BL・Sが後衛となります。
縦・横の関係は隣同士で守るもので、2つ隣になると守る必要はありません。
この場合、Sで言うと左隣がBL、右隣は前衛のFCとなります。
Sの左足つま先がFCの右足つま先より前に出てはいけない、Sの左足がBLの右足より中に入ってはいけない、というようになります。
SにとってFLは隣ではないので、FLより前に居ることはセーフです。このような前後左右での立ち位置の決まりが、6人分存在します。
主審は基本的にボールを追いかけ、ボールのあるチームの反則を見ているので、副審側がボールのないチームの反則を見ることになります。
基本的にホイッスルを吹くのは主審になりますが、副審のハンドシグナルに主審が気付かない場合、副審はホイッスルを吹くことができます。
まとめ
バレーボールには細かいルールがたくさんあり、それを判断する審判はとても重要になります。
さらに、ボールのスピードが早い競技なので、審判でも判断が付かない場合が多々あります。
そのため、ホイッスルを持つ主審の副審、ラインのインアウトを判断する4人のラインズマン、全ての記録を行う記録者(IF)と、多くの人数で反則がないのかをチェックしています。
それでも判断が付かない場合は、主審が副審と両チームのキャプテンを呼んで話し合いをすることもあるほどです。
試合を進める為に必要なルールはとても大切で、プレーヤーは審判の指示に従って試合を進めなくてはいけません。
その判断が不利になることも多々ありますが、どの試合の開会式でもスポーツマンシップという言葉が使われるように、それに伴った行動が試されます。
試合を進めるために、スポーツマンシップにのっとりルールを理解して守りましょう。
視聴者の方は、審判のハンドシグナルで判定を理解しながら見ると、さらに楽しくバレーボールの試合を見ることができますので、注目してみてください。