バレーボールは、様々なブランドから様々な種類のボールが販売されています。
その中で、国際大会で使用できるのはミカサとモルテンが販売している公認球のみ。さらに、この2社から新しいボールがどんどん開発されています。
そこで今回は、両社のボールの違いを詳しく紹介します。まずは、これまでのボールの変化を見ていきましょう。
ボールの歴史
様々なルール変更を行ってきたバレーボールですが、ボールに関してもどんどん新しいものが導入されてきました。
まず、白球だったボールは1998年にカラーボールに変更されます。テレビ放送などで、視聴者がボールを見やすいようにするためです。
カラーボールが導入されて以来、8枚パネル、12枚パネル、18枚パネルで構成されたボールですが、Vリーグでは2000年に、ジュニアでは2006年から18枚パネルでの統一がなされ、順を追ってそれが認定球となりました。
2008年の北京オリンピックでは、ミカサが開発した螺旋模様のボールが初めて使用され、以来、現在のボールが認定球になっています。
今回認定球となったボールは、多くのバレーボーラーがインパクトを受けるほど従来のボールとは違っていて、デザインから構成まで様々な改良がなされました。
北京五輪から使用された新しいボール
製作側(ミカサ)が、今後のバレーボールを盛り上げるために、開発の主眼を「ラリーが続く試合」ということに絞りました。白熱したラリーを繰り広げることで、より面白く見所のある試合になるからです。
そこでまず、ボールの変化を少なくするために、ゴルフボールを参考にディンプルシボというくぼみを付け、変化の少ないボールを開発しました。
さらに、レシーブ時などの衝撃吸収力を高めることにも注目し、「2重クッション構造」を採用しました。
デザインが螺旋模様になった理由は、レシーブ時にボールの回転がわかりやすく変化を瞬時に捉えることができるからです。
このように、早く決着を付けたい選手の気持ちとは裏腹に、視聴者が面白いと感じる「ラリーが続く試合」ということに重点をおいた、従来とは異なるボールが完成したのです。
それぞれの試合球
公式の国際大会では国際認定の、世界大会では世界認定を受けたボールが使用されます。
今年度(2019年)では、男子=モルテンV5M5000、女子=ミカサMVA300が試合球として決定しました。
※国際大会では、ミカサとモルテンのボールを、年ごとに男子と女子で入れ替えて行われています。
また、バレーボールでは年齢において使うボールの大きさや重さが変わります。
4号軽量球
ジュニアの大会で使用されるボールです。
直径20cm、重さ200~220g。1番小さく、1番軽いボールです。
4号球
中学生が行う大会で使用されるボールです。地域にもよりますが、ママさんバレーにも多く使用されるボールです。
直径20cm、重さ240~260gと、ジュニアと同じ大きさですが少し重たくなります。
5号球
高校生、一般、世界大会など、中学生以上が行う大会で使用されるボールです。
直径21cm、重さ260~280gと、1番大きく重いボールです。
※6人制、9人制ともに、ボールの規定は同じです。
なお、公式の試合球にはボールに入れる空気の量が定められているので、それを計測してから使います。
空気の量ひとつで重さやボールの感触が変わってしまうので、規定から外れると大きく手元が狂います。
バレーボールはボールを掴めず触れるのも一瞬なので、空気の量はとても重要になるのです。
気軽に計測できる方法は、ネットの上の白帯から垂直にボールを落とし、下の白帯にちょうど跳ね上がったボールがベストだと言われています。
公式戦以外では、各チームからボールを1つずつ用意しなくてはいけません。練習球から1つ出すのでも、あらかじめ試合球を用意するのでも、どちらでも良いです。
計測機がなくてもこの方法を試してもらうと、大体良い空気量になると思います。
ミカサとモルテン
国際大会公認球として認められているのは、ミカサとモルテンの2つです。
今年もやはり両社共に螺旋模様のボールが使用されるのですが、この両社のボールでは何が違うのかを詳しく見ていきましょう。
ミカサ
国内だけでなく、世界からも強い人気があるのが日本のミカサです。
2009年北京五輪で使用されたミカサMVA200は、従来のボールと大きく異なるものでした。
以前から世界大会での公認を受けていたミカサですが、それ以来、世界大会、オリンピック、グラチャンバレーと全ての世界大会でミカサが使用されるようになりました。
ミカサのボールの最大の特徴は、コントロール性が高いということです。
空気抵抗の少ないマルチパターン構造を取り入れ、空気抵抗を減らした素直な飛行曲軌道を描くようになっています。
サーブ時は変化の量が少なく、狙った場所に落としやすいです。また、正確なトスアップが可能に。スパイク時のコントロールも高くなり、レシーブではボールの変化が少ないぶん、落下地点が読みやすくなりました。
モルテンと比べて衝撃が軽く、打ったりレシーブした時の感覚は軽いイメージだと思います。
選手にとって汗は致命傷です。これまでのボールは汗を吸収する表皮で、汗を吸ったボールが滑りやすく重いという意見がありました。
MVA(螺旋模様のボール)が開発されて以来、ミカサのボールは汗を吸収しないナノテクノロジーを駆使し、汗に左右されないボールを開発しました。
しかし、汗を吸収しないぶんボールの表面に付いてしまうので、この意見には賛否が分かれています。
モルテン
世界からの公認は受けていないものの、国内では昔から高い支持を得ている人気のボールです。
ミカサボールとはデザインが違い、以前からの18枚パネルのデザインを螺旋模様にしたものになります。
モルテンの特徴は、ミカサで挙げているものとほぼ同じです。
コントロール性が高くなるよう、皮革表面を配慮し、ボールの飛行軌道を安定させる新技術を採用しています。さらに空気の乱れを抑制し、サーブの落下点のばらつきを少なくしています。
違いといえば、ボールの感触です。ミカサと違ってモルテンはクッション性の高い表皮で柔らかくできています。レシーブの性能は高くなると言えます。
しかし汗を吸収する表皮なので、多少重さが変わります。
ミカサとモルテンの違いとは?
では、実際に両社のボールを使用すると、どのような違いがあるのかをご紹介します。
重さ
ほぼ同じではありますが、衝撃だけを見るとモルテンのほうが重たく感じます。
飛び方と跳ね方
ミカサのボールは、衝撃を抑える仕組みがなされているのであまり飛びません。
モルテンのボールはよく飛び、よく跳ねます。
感触
ミカサのボールは表面が少し固く、ペチっと音がする一方で、モルテンはボールの芯をふわっとした表面で覆っているような感触です。
ミカサのボールは慣れるまで痛いという意見もありますが、全体で芯を捉えやすく、モルテンはふわっとしている一方で中に芯があるので捉えにくいです。
コントロール
芯の捉えやすいミカサのほうが、コントロールはしやすいと感じます。
変化量
空気抵抗がより少ないミカサは変化がつけにくいので、モルテンのほうが変化をつけやすいと言えます。
しかし、選手のプレースタイルにもよるのではっきりとは比べられません。
汗の影響
ミカサは汗を吸収しないので、ボールの重さは変わりません。ですが表皮がつるつるしているので、汗が見えるほど表面に付いている場合もあり、その場合はかなり滑ります。
一方、モルテンは汗を吸収するのでボールが多少重くなります。ですが、汗が表面に付くことは少ないので滑ることは少ないです。
人気
世界で認められているミカサは、やはり人気があります。
しかし、国内ではモルテンを支持する声も大きいです。
まとめ
はっきりとした違いといっても一概には言えませんが、このような意見が多数だと思います。
ミカサが良いという意見もあれば、モルテンが良いという意見もあります。
試合ではボールを選ぶことはできず、年ごとに男女のボールが入れ替わるので、両方を持って特徴を生かした練習をすることが1番ではあります。
※世界大会ではミカサが使用されます。
また、2019年にはミカサにより新球が開発され、2020年度から男子に使用することが検討されています。(2020年2月頃に決定。)
バレーボールはつなぐスポーツなので、ラリーが続く試合は見ていて盛り上がります。そのために新しいルールが加わり、またボールもどんどん進化を遂げていくのです。