バレーボールのフォーメーション | 6人制と9人制の基本

その他

バレーボールでは、1ラリーが約20秒と言われています。実はその20秒の間に、何度もフォーメーションが変わっていることをご存知でしょうか。

選手は技術のほかに、数多いフォーメーションとその動き方を理解し、覚えなくてはいけません。フォーメーションのミスは致命的で、それが勝敗を決める重要なものだと言えます。

今回はどのようなフォーメーションがあるのか見ていく中で、フォーメーションの特徴と上達のポイントをご紹介していきます。

フォーメーションの見方

バレーボールでは、選手の立ち位置で全体のフォーメーションを決め、それを数字で表しています。

フォーメーション図1

例えば図のように、前衛が3枚・中衛ラインに1枚・後衛が2枚の場合は、前から数えて3-1-2と表します。

前衛が3枚・中衛が0枚・後衛が3枚の場合は3-3と表します。

9人制のフォーメーションも同じように、前衛の人数から中衛、後衛の人数を数字で表しています。

フォーメーションとは、相手コートにボールがある状態での選手の立ち位置のことをさします。

スパイクレシーブ時、又はサーブレシーブ時には、そこから応用のフォーメーションをとることになります。

6人制のフォーメーション

6人制における基本のフォーメーションをご紹介します。

そこからディグ(レシーブ)の応用フォーメーションの動き方を、図を使って紹介していきます。

3-3

フォーメーション図2

3-3はバランス型のフォーメーションです。

最も基本的なフォーメーションで、小学生から一般、海外まで、どの年代でも1番多く使われているフォーメーションになります。

前衛を3枚にすることで、相手のスパイカーにブロックで対応しやすくなります。また、後衛に3枚置くことで守りにも強くなります。

メリットは、相手のスパイカーに対して必ずブロッカーを1枚付けることができること。前衛3枚なので攻撃に入りやすい、後衛3枚なので守りに強い、といった点も挙げられます。

デメリットは、フェイントボールに弱いということです。中衛がいないので、レシーブ時はストレートにいる選手とインナーにいる選手でフェイントを取らなければいけません。

インナーの選手が中のフェイントを取って体制を崩した場合、スパイカーが2枚になるので相手に有利になります。

このフォーメーションがうまく機能するためには、ストレート側のディグとフェイントを取る練習が必要です。インナーの選手が中に入ったときのコンビ練習を、十分イメージして行うことが大切です。

3-3でのディグのフォーメーション

フォーメーション図3

ここでは、レフトとセンターからのスパイクに備えた、ディグのフォーメーションをご紹介します。

レフトからのディグのフォーメーションは、2-1-3になります。

FCとFRがブロックをし、FLがフェイントボールとインナーレシーブに下がります。

BLがクロスレシーブに、BCが後ろとワンタッチボール、BRがストレートとフェイントボールを守る形で移動します。

フォーメーション図4

フォーメーション図5

前衛3枚の場合は基本的に2枚ブロックになり、センターからのディグのフォーメーションは2-1-3になります。

FLかFRのどちらかとFCがブロック。ブロックをしない方はフェイントカバーに下がる。BLとBRはクロスレシーブとフェイントボール、BCは後ろとワンタッチボールのフォローをする形で移動します。

男子では3枚ブロックをとるチームがいますが、フェイントカバーがいない3-3になるので、BLとBRがクロスとフェイントを守る形になります。

3-1-2

フォーメーション図1

攻撃型のフォーメーションです。

ブロックが得意なチームか、レシーブに特化した選手がいるチームに多いフォーメーションです。

メリットは先程と同じで、3枚の相手スパイカーに対して3枚のブロッカーを付けることができる点です。

攻撃型という意味は、前衛に3枚いることはもちろん、その3枚が攻撃に入りやすいフォーメーションになっているからです。

例えばレフトからのスパイクレシーブのとき、フェイントボールは中衛の選手が拾うので、ブロックしない前衛レフトの選手はインナーコースのレシーブのみになります。

そのおかげで中に行くことはなく、次にスパイクを打つ体制を取りやすくなるので攻撃を強化できます。

デメリットは後衛が2枚になるので、後衛センターが空いてしまい守りに弱くなるということです。

このフォーメーションはブロックが重要になります。空いてしまった後衛センターの範囲をブロックでカバーするということです。

このフォーメーションを取るにはブロックに特化した選手がいること、またはブロックで閉める範囲を決め、練習を十分行うことが大切になります。

3-1-2のディグのフォーメーション

フォーメーション図6

レフトからのディグのフォーメーションは2-2-2になります。

FCとFRがブロック、FLがインナーレシーブに下がり、BRがフェイントボールを、BLがクロス、BCがストレートを守る形で移動します。

フォーメーション図7

フォーメーション図8

センターからのディグのフォーメーションは、FLとFRのどちらかとFCがブロックをし、ブロックをしない方はフェイントカバーに下がります。

BRもフェイントカバー、BLとBCはクロスレシーブをする形で移動します。

*BRにはセッターが回るローテーがあるので、FRがブロック・FLが下がり、セッターがレフト側へ回らないようにするのが良いでしょう。セッターがレフト側のフェイントカバーに入ると不利になります。

また、1枚ブロックになると、後衛が2枚なのでレシーブが難しくなります。できるだけブロックは2枚以上付く必要があります。

2-1-3

フォーメーション図9

守備型のフォーメーションです。

レシーブが得意なチームが採用するフォーメーションで、ブロックに回るよりレシーバーを増やしたほうが良い場合にとる方法です。

このフォーメーションは中学生から一般、海外ではあまり使われませんが、セッターがブロックに参加しないチームは、セッターが前衛に来るとこのフォーメーションを取ることもあります。

基本的には小学生に多いフォーメーションです。

メリットとしては、後衛が3枚なので守備には強く、さらに中衛に1枚おくことでフェイントボールが来ても落ちることは無い点です。

デメリットは、相手スパイカーが3枚の場合、こちらは前衛が2枚なのでブロックが付きにくく、ノーマークで打たれる可能性があることです。また、前衛で攻撃できる選手が2人になると、どうしても攻撃は弱くなります。

これらのデメリットがあっても、それを上回るレシーブ力のあるチームはこのフォーメーションをとることができます。

レシーブが強いということは、バレーボールでは「負けない」ということになります。レシーブ力を磨くことが、このフォーメーションを成熟させることに繋がります。

2-1-3のディグのフォーメーション

*小学生はフリーポジションなので、前衛ライトではなくセッターとします。中学生から一般までは、セッターが後衛でこのフォーメーションを取ることはほとんどありませんので、セッターが前衛にいると想定したフォーメーションを紹介します。

フォーメーション図10

レフトからのディグのフォーメーションは、1-2-3となります。

FCがブロックを、FLがインナーレシーブに下がり、Sがフェイントボールを拾います。

BLはクロス、BRはストレート、BCは間とワンタッチボールのフォローをする形で移動します。

フォーメーション図11

センターからのディグのフォーメーションで、2枚ブロックの場合は2-1-3になります。

FCとFLがブロックを、Sがフェイントカバー、BLとBRがクロスレシーブとフェイントフォロー、BCが後ろとワンタッチボールのフォローをする形で移動します。

フォーメーション図12

1枚ブロックの場合は1-2-3となり、セッターが右側に位置するため、FCがブロック、FLが下がりSとフェイントカバー、BLとBRがクロスレシーブ、BCが後ろとワンタッチボールのフォローをする形で移動します。

ディグのフォーメーションのコツ

試合では必ず、フォーメーションが崩れる場合があります。ブロックの枚数が2枚から1枚になるようなときです。

ディグではブロックとレシーブの関係性が最も重要で、ブロックの間を打たれたり、枚数が減って空いているスペースに打たれるなど、後衛の選手で守りきれない範囲があるからです。

基本の動きを頭に入れつつ、そのような場合を想定した練習が必要になります。

また、センターからのディグは、FLなのかFRなのか、あらかじめブロックに飛ぶほうを決める必要があります。なぜなら、そのどちらかで後衛の選手の動きが変わってくるからです。

さらに、ライトポジションにはセッターがいるので、ブロックをさせるのかレシーブをさせるのか、よく考えて選ぶ必要があります。

どのような状況にも対応できるよう、チームで約束事を決めて練習を行うことが、自分達のフォーメーションの質を上げる方法です。

レセプションのフォーメーション

ここではレセプション(サーブレシーブ)のフォーメーションをご紹介します。基本的なレセプションのフォーメーションは1-3-2です。

フォーメーション図13

レセプションでは、サーブレシーブが得意な選手やリベロを中心にフォーメーションを組みますが、1-3-2をベースに得意な選手と苦手な選手の守備範囲を分けていきます。

上図は、BCにリベロが付くと仮定した図です。小学生では守備の上手い選手はFCの位置を守ります。

フォーメーション図14

多いのは、前衛のセンタープレイヤーをネット付近に上げた2-2-2です。リベロを中心に4枚で守ります。

小学生はフリーポジョンなのでどのように配置しても良いのですが、ローテーションでは隣同士の前後左右のルールを守らなくてはいけません。これに気を付けて守備範囲を上手く分けていきましょう。

9人制のフォーメーションについて

9 人制における基本のフォーメーションをご紹介します。そこからディグ(レシーブ)のフォーメーションの動き方を図を使って紹介していきます。

前提として、9人制はフリーポジションなのでローテーションはありません。前衛、中衛、後衛を自由に変更することも可能ですし、9人をどう配置しようと自由です。

5-1-3

フォーメーション図15

これはバランス型のフォーメーションです。

どの年代でも1番多いフォーメーションになります。特に女子には多い形です。

バランスが良いので、攻撃にも守備にも移りやすく対応しやすいのが特徴です。

5-1-3のディグのフォーメーション

9人制では、ブロックに付かない選手は後ろに下がってフェイントカバーに入るので、今回はレフトからのスパイクを想定したフォーメーションをご紹介します。

フォーメーション図17

5-1-3では基本的に3枚ブロックになるので、フォーメーションは3-3-3となります。

HC・FC・FRでブロックを飛び、FLが下がってSとフェイントカバーに、HLがインナーレシーブに下がり、後衛の3枚でレシーブをします。

6-3

フォーメーション図18

攻撃型のフォーメーションです。主に男子チームに多いフォーメーションです。

ブロッカーが6人になるので、相手の攻撃に対応しやすく、自分達の攻撃力も高くなります。

このフォーメーションにはフェイントカバーがいないので、守備の形を整えるためには、ブロックをしない選手が瞬時に移動しなくてはいけません。

6-3のディグのフォーメーション

フォーメーション図19

6-3でも3枚ブロックが基本なので、3-3になります。

S・FC・FRでブロックを飛び、FLとHCがフェイントカバーに下がります。

HLがインナーレシーブに下がり、後衛3枚でレシーブをします。

4-2-3

フォーメーション図20

守備型のフォーメーションです。

レシーバーを増して相手の攻撃に対応する形です。

攻撃には中衛の選手も参加できるので問題はありませんが、レシーバーを増やすのでブロッカーの枚数は減ることになります。

4-2-3のディグのフォーメーション

フォーメーション図21

前衛が4枚なので2枚ブロックになり、2-3-4になります。

FCとFRがブロックを飛び、SとHCでフェイントカバーに、FLが下がってインナーレシーブに入ります。

HLが瞬時に下がってクロス側のボールをレシーブし、後ろを後衛の3枚で守る形になります。

9人制フォーメーションのコツ

9人制ではおもに3枚ブロックを基本とし、フェイントカバーがしっかりといる形になります。

ブロックが3枚になるとコースの打ち分けが難しい一方で、ワンタッチを取られやすくなります。

9人制ではワンタッチが1回の回数に含まれるので、実質レシーブでトスを上げることになります。

瞬時にディグのフォーメーションを整え、ワンタッチにも対応できるようにすることが重要になります。

9人制のレセプションのフォーメーション

フォーメーション図22

レセプション(サーブレシーブ)の基本のフォーメーションをご紹介します。

基本的には、2-4-3が最もオーソドックスなフォーメーションです。

メリットとしては、中衛を強化しているのでどのサーブにも対応しやすくなる点が挙げられます。

デメリットは、ほとんどのスパイカーがレセプションに参加するので、スパイク準備に遅れが出てしまうということです。

フォーメーション図23

攻撃を重視する選手を前衛に上げたフォーメーションが3-4-2になります。

これは守備の選手、つまりバックプレイヤー3人を中心にしたフォーメーションです。

フォーメーション図24

フォーメーション図25

男子チームに多いフォーメーションが2-5-2、または2-2-5です。

これは、ジャンプサーブなど強いサーブが来る場合に採用する方法です。

横一列に5人の選手を揃えてレシーブを強化します。

まとめ

バレーボールにとって、フォーメーションは大きな戦略の1つです。

ここではオーソドックスなフォーメーションをご紹介してきましたが、チームの特徴を活かした形をとることが大切になります。

自分のチームはどのような形を採用するのが良いのか考えると同時に、チームでの約束事を決めて練習を行うようにしましょう。

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