バレーボールのポジションごとの役割

その他

スポーツには「ポジション」と呼ばれる選手の役割がありますが、バレーボールには大きくて分けて5つのポジションがあります。

ここではそのポジションの名称と役割を見ていく中で、参考になる選手などもご紹介していきます。

観戦やプレーの参考にしてみてください。

セッター

セッター

スパイカーにトスを上げる役割を担い、チームの司令塔となるポジションです。

常に状況を判断し攻撃のパターンを組まなくてはならないため、非常に重要で難しいポジションです。

強いチームになるほどセッターのレベルが高いと言えるでしょう。逆に言えば最も代わりがきかないポジションになります。

前衛ではブロックをしたり、レシーブが崩れて二段トスになった場合はスパイクを打つ状況もあります。

後衛ではレシーブにも参加するので、全てをこなせる選手がセッターのポジションにつくのが理想です。

求められる能力

セッターは、攻撃パターンと相手のブロックの状況、さらにはレシーブ時のチーム状況、味方と相手の心理状態を瞬時に判断しなくてはなりません。

また、スパイカーへのトスは誰よりも正確性を求められ、レシーブに下がった場合、自分の所へボールが来ない時はネット付近まで上がってトスアップに回ります。

誰よりもボールを触る回数が多いポジションなうえに、運動量、頭の回転、状況判断、正確性を求められるポジションがセッターです。

身長で役割が変わることも

セッターは身長で役割が少し変わります。背の高い選手がセッターになる場合ブロックを重視し、後衛ではフェイントカバーに回り2本目に重点を置いた、大型セッターのフォーメーションをとります。

背の低い選手がセッターになる場合はレシーブを重視し、前衛でブロックを飛ぶ場合はストレートにレシーバーを配置するフォーメーションをとります。

もちろん身長関係なく、どちらもこなせるセッターもたくさんいます。基本的に能力の高い選手がつくポジションなぶん、セッターにはサーブの良い選手が多いです。

参考になる選手

竹下佳江さん

元全日本代表の竹下佳江さんです。

160に満たない身長で、世界一のセッターと呼ばれる実力者です。技術、判断能力、正確性やメンタル面、セッターの才能を全て持ち合わせている方です。

トスアップはもちろん、リベロに劣らないレシーブ力を持ち合わせ、ブロックでも世界のスパイカーを1枚で止めるほどの技術があります。

竹下佳江さんは、全てのスパイカーに合わせた「それぞれに違うトス」を、どの状況であっても正確に上げているのです。

スパイカーが打ちやすいトス以上に良いトスはありません。それをひとりひとりに合わせられる素晴らしいセッターです。

深津英臣選手

パナソニックパンサーズの深津選手です。

深津選手の特徴は、レシーブがどこへ上がってもスパイカーの最高打点へ正確なトスを上げていることです。技術はもちろんですが、ボールの着地点へ入る速さと崩れないトスアップがそれを成していると言えるでしょう。

また、選手ひとりひとりに声を掛け、状況を判断してチームを動かしています。

チームのムードメーカーも担い、まさに完璧な司令塔だと言えるでしょう。

ウィングスパイカー

ウィングスパイカー

レフトプレイヤーのことを指します。アウトサイドヒッター、またはサイドアタッカーとも言われます。

セッターから距離があり、レシーブが乱れてもトスが上げやすいので、最も多くのスパイクを打つことになるポジションです。よって、スパイク技術の高い選手を置くポジションになります。

ウィングスパイカーにはエースと呼ばれる、最も点を取るスパイカーがいるチームが多いです。

スパイク技術のいるポジションですが、苦しい時にこそトスがあがるポジションなのでメンタルの強さが必要になります。

やはり、エースが打つと試合は盛り上がるので、ムードメーカーの選手に向いたポジションです。

求められる能力

ウィングスパイカーはスパイクがメインになりますが、リベロと交代するのはミドルブロッカー(センタープレイヤー)の選手が多いため、レシーブ力が必要になります。

バックアタックに回ることもあるので、後衛でも守りにつき攻撃にも加わるポジションです。当然、体力も必要になります。

ウィングスパイカーはレセプションで狙われることが多いので、リベロや守備の得意なウィングスパイカーがいない場合は練習をする必要があります。

参考になる選手

木村沙織さん

元全日本女子チームとして世界で活躍した木村沙織さんは、スパイカーとして高い技術とレシーブ力を持ち合わせた選手でした。

なんと言っても非常に器用な選手で、強打、軟打、ブロックアウトを使い分けることができる選手です。

苦しい時こそ何とかしてくれる、まさに日本のエースでした。

高橋みゆきさん

元全日本女子チームで活躍した、身長の低いスパイカーです。

ジャンプ力があり肩も強いので、そこから放たれる強打から器用な打ち分けもできる選手でした。持ち前の明るさとメンタルの強さで非常に人気の高い選手です。

彼女が打つとチームに勢いがつくほど、エースとして素晴らしいスパイカーでした。

石川祐希

全日本男子チームとして世界でも注目されている石川祐希選手は、身長も高く、これまでに例を見ないほどのスパイク技術を持っている選手です。

スパイクに関して非常にバランスの取れた選手なので、ぜひ参考にしてみてください。

ミドルブロッカー

ミドルブロッカー

センタープレイヤーのことを指します。ブロックを専門に、クイックやブロードといった速い攻撃に使われるポジションです。

相手の全ての攻撃にブロックで対応し、返ってきたボールに対して一定の助走からクイックに入るので、背の高い選手を置くことが多いです。

主に前衛専門のポジションで、後衛に回るとリベロと代わるチームがほとんどです。前衛でブロックやおとりとして攻撃に入ることも多く、体力を消耗するので後衛での守備はリベロに任せるということになります。

背の高い選手が多く前衛専門となるので、サーブレシーブ時でも守備に参加することはほとんどありません。

求められる能力

ミドルブロッカーは、常に相手と近距離で勝負するポジションです。相手のトスがどこに上がるか、ブロックでどこを閉めるのか、レシーブ返球の位置からトスがどのように上がるのかなど、瞬時に判断して動かなくてはならないのでその能力が求められます。

ミドルブロッカーがしっかり機能するということは、守備の効率がぐんと上がることになります。チームの総合の守備が良いということは、ブロッカーが良いと言えるのです。

ミドルブロッカーの役割は前衛専門と言いつつ、守備にも大きく関わる大切なポジションです。

ブロックが決まると相手のメンタルを削ると同時に、一気に流れが来ると言われています。冷静に判断できる選手に向いているポジションでもあり、流れを引き寄せるガッツのある選手にも向いているポジションです。

セッターと隣になるミドルブロッカーは、攻撃が2枚になるローテーションが多くなるので、攻撃力が求められます。

参考になる選手

荒木絵里香選手

全日本女子チームの荒木絵里香選手は、チームの士気を上げるプレーセンスと、流れを引き込むガッツのあるミドルブロッカーです。

荒木選手がブロックを決めたときは、ガッツポーズと一緒に会場が盛大に盛り上がります。そのような選手がいることは、チームにとって、とてもプラスになることです。

また、ブロッカーとしての技術も、クイックで相手をかわして打ち込むことも、大変技術のいることですが、荒木選手は両方をこなしている選手です。

山口舞選手

全日本女子チームの山口舞選手の持ち味は、なんと言っても速いブロードです。

山口選手のクイックやブロードは他の選手と比べてもテンポが速いので、かなり有効な攻撃手段になります。

オポジット

オポジット

ウィングスパイカーに含まれることもありますが、セッターの対角に入るライトプレイヤーのことを指します。スーパーエースと呼ばれることもあります。

このポジションの特徴は、全てのプレー能力が必要になるということです。能力の高い選手を置くことが多いポジションです。

攻撃力と守備力の両方が求められる

セッターと対角に入るということは、セッターがレシーブをした場合はトスを上げる場合もあるということ。

セッターの背が低い場合、ブロックを抜けた先に位置するレシーバーがオポジットになるので、守備力が求められるということになります。

また、ウィングスパイカーの攻撃が通らなくなると、必ずオポジットの攻撃力が求められます。

オポジットの攻撃力が高ければ高いだけ、相手ブロッカーはサイドに振られるので、こちらの攻撃が通りやすくなります。

判断力も求められる

Vリーグや世界大会になると、セッターが上げにくいとされるライト方面へ攻撃してくる場合があります。

つまりオポジットがレシーブをするラリーが増えるということなので、守備力はもちろん、レシーブから攻撃に入る判断能力も必要になります。

最も重要と言っても良いポジション

エースを持つレフトプレイヤーと背の高い選手を置くミドルブロッカーに比べ、オポジットは一見目立たないポジションに思われがちですが、最も重要だと言っても良いポジションなのです。

オポジットの選手の能力が高いチームは、強いチームだと言えるでしょう。

このポジションにエーススパイカーを置くチームもあります。バレーボールはレフトからの攻撃が圧倒的に多く、自然と身体がレフトに慣れていますが、ライトにエースを置いて攻撃をすることで有利に試合を進められるという考えもあります。

その場合、後衛でもバックアタックを加えたいので、守備でオポジットをカバーするフォーメーションを組むことが大切になります。

参考になる選手

新鍋理沙選手

全日本女子チームの新鍋理沙選手です。全ての能力が高いと世界でも評価の高い選手です。

新鍋選手はとても器用なボールさばきで、エースに劣らない決定率を誇ります。

新鍋選手の武器は、なんと言ってもレシーブ力の高さ。それは世界一と言えるでしょう。

全日本女子チームのレセプションでも、リベロと新鍋選手の2枚を中心にポジションを組んでいるほどです。

長岡望悠選手

先ほど「オポジットにエースを配置する」と書きましたが、まさにその体制を取れるのが長岡選手です。

国内では最も高いスパイク力のある選手ではないでしょうか。サウスポーなのでライトプレイヤーに向いています。

世界大会でも、攻撃力が必要な時には長岡選手をインさせて、ボールを集めていました。打ち分けはもちろんですが、強打を武器にして、決定率の非常に高いオポジットの選手です。

これだけ火力のある選手がこのポジションに着くと、攻撃力はかなり高くなります。

全日本男子の清水邦広選手と似た役割を果たします。

リベロ

リベロ

他の選手と違うユニホームを着ている、守備専門のポジションです。

主に後衛にいるミドルブロッカーと交代し、守備を固める役割を担います。また、ベンチにいる時は監督の指示を聞き、コートに入った時にコート内の選手に指示を伝える役割も担っています。

レセプション、レシーブ時ともに、リベロを中心に守備範囲やフォーメーションを決めていきます。

小さい選手のポジションだと言われることもありますが、コートの大半を任されるため、守備の上手な選手しかなれないポジションです。

求められる能力

リベロの役割で最も重要なのは、レセプションです。バレーボールの勝敗はレセプションの返球率で決まると言われていて、コートの大半を守ることになるリベロが最も重要になるのです。

守備が上手なことはもちろん、献身的に味方のカバーをしたり、守備専門ということでミスをすることができないなど、精神力がありメンタルの強い選手に向いたポジションです。

また、ベンチからの指示の伝達、後衛からの指示など、状況判断や統率力のある選手に向いています。

バレーボールは技術を身に付けるのが難しい競技ですが、その中でもレシーブはすぐに上手くなることができません。

相手の攻撃を受けるため、体の使い方や感覚、腕の角度や力加減まで時間をかけて身につけるしかないのです。

リベロになるには、人一倍の努力と根気が必要だと言えます。

参考になる選手

佐野優子さん

元全日本女子チームで活躍した佐野優子さんです。レセプション、ディグ共に返球率が非常に高いリベロでした。

佐野さんの特徴は、ボールの落下地点を見極める読みと、高いセンスを持っているところです。

上手なリベロは、派手に動き回ったレシーブをしません。それは、先に落下地点を読んでボールが来るのを待っているからです。

また、ボールの勢いを止めて返球したり、コート内の状況を見て返球の速度を変えたりしていました。

佐野さんはリベロとして世界でも認められた素晴らしい選手です。

まとめ

バレーボールのポジションには、それぞれ違う役割がありました。

役割を理解していれば、プレー中に迷うことなく動くことができますし、観戦するときもより深く楽しむことができます。

プレーヤーの方でポジションを決める際は、技術だけでなく、性格やメンタル面も重要な要素になります。選ぶ際は、様々な面を考慮すると良いでしょう。

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